| FW | CF WG |
= センターフォワード = ウィング |
|---|---|---|
| MF | OH SH(WB) DH(volante) CH |
= オフェンシブハーフ = サイドハーフ(ウィングバック) = ディフェンシブハーフ(ボランチ) = センターハーフ |
| DF | CB(stopper) SB SW LIB |
= センターバック(ストッパー) = サイドバック = スイーパー = リベロ |
(1)4-4-2 FLAT LINE
4-4-2システムは、南米の監督ゼゼ・モレイラの生み出した4バックによるゾーンディフェンスを基礎とした4-3-3システムの変形として1980年前後に考え出されたものだ。4バックによるディフェンスは近代的なサッカーの幕開けの重要なファクターであった。
中盤の人数が少ないために役割分担が明確でない場合が多く、比較的ポジションなどの入れ替わりが激しい。 フラット型は現在最も多くのチームで採用されている4-4-2のシステムである。 バランスに優れたシステムで、DFラインからFWまでゾーンディフェンスの一貫した守備方針で望むことが可能だ。それにより守備時のマーキングエリアも効率的、且つ明確に分割することが出来、どんなチームであっても比較的機能させやすいという特徴を持つ。 このシステムにおいては両サイドに2人づつ配したサイドプレーヤーの攻防が中心となる。 守備時のマークの受け渡しやカバーリングなどの連携が重要であり、SHは後方のSBのサポートを受けて積極的にサイドスペースを攻め上がる。中盤の構成力というよりはむしろこのようなサイドの突破力を生かすことが多く、手薄な中盤中央スペースは破綻をきたさないよう攻守に渡る積極性と高い総合能力を有する選手がCHとして起用されている。マンチェスターユナイテッドのベロンやロイキーン、アーセナルのビエイラやピレスなどはその代表格であり、彼らの仕事は多岐に渡っている。 |
(2)4-3-1-2 DIAMOND
4-4-2フラットに次いで一般的なのが図のように中盤をダイヤモンド型に構成した4-4-2システムである。
この形で最も有名なのがスペインであり、代表・クラブチームを問わず長年このシステムを採用し続けている。細かいパス回しと連続的なサイド攻撃が特徴で、サイドを攻撃の起点としながらも細かいパス回しで相手をきれいに崩そうという意図が見られる。中盤を追い越すようなSBのオーバーラップもがよく見られ、故にDFラインは完全なゾーンディフェンスというよりは、マンマークも織り交ぜながらぼかした守備になっている。それも全ては攻撃力を生かすためであり、変わりにワンボランチがDFライン前方に構えたアンカーとなり、危険なスペースをカバーしている。 |
(3)4-2-2-2 SQUARE
4-4-2の中でサイド攻撃の色が最も薄いのがこのボックス型である。
他のシステムに比べサイド攻撃に対応できる人数が少ないためにDFラインは低く設定されていることが多いが、変わりに低域でのゾーンによりボランチとSBの連携から相手を追いこむようなディフェンスと、守備の負担の減ったOH2人からのカウンターが効果的だ。 攻撃時には前線の4人と中心にタメを作り、SBやボランチの上がりを引き出すことでサイド攻撃を機能させており、 スペインリーグでは一時期のバレンシア、Jリーグでは鹿島アントラーズなどが主にこのシステムを採用している。 |
(4)4-2-2-2 BRAZIL
1982年ワールドカップでブラジルが見せた4-4-2はボックス型の原型となるシステムであった。
中盤の4人はその高い能力と華麗なパス回しから「黄金の中盤」と形容された。高い得点能力とパスセンス・抜群の精度のFKを備えた白いペレこと天才ジーコ、190cmを超える長身とそれに似合わぬボールさばきとテクニックを備えた王国の頭脳ソクラテス、高い攻撃センスと守備力、加えて試合をコントロールする抜群の能力を備えた未だ過去最高のブラジル代表選手との呼び声高いローマの鷹ファルカン、驚異的な身体能力から高い守備力と得点能力を見せたトニーニョ・セレーゾ。これら攻守に渡る高い能力を持ったMFを抱え華麗な攻撃を見せながらも、中盤の底にボランチが本職である選手を入れた守備組織の安定感がこのサッカーを支えていた。 このシステムは4-3-3システムを基礎としながら、ファルカンとトニーニョ・セレーゾというワールドクラスのボランチを共存させるためにWGを廃したことにより4-4-2の形をとることになった。結果攻撃には有効だがゲームに絡みにくいWGポジションが消失したことで、ハイレベルなMFによる中盤の前後の構成力によるパス回しによるゲームメイキングが可能になった。懸念されるサイド攻撃の減少も、中盤の高いキープ力がSBの上がりを助けることで解消できた。 守備についてだが、それまでのテレ・サンターナの4-3-3では中盤の3人がサイドへ開かず中を固めることによりまず中央からの突破を封じ、一方でサイドバックが高めの位置で縦を切ることでアーリークロスを上げさせ、それを空中戦での競り合いに強いCBが跳ね返すという流れが基本であった。だがこの時のセレソンでは能力の高いダブルボランチが2人で中央MFが負うべき守備的役割を分担できたためにかのような攻撃的中盤が実現されたと思われる。 |
(5-1)4-4-2 AC MILAN DEFFENCE
80年代後半から90年代前半にかけてACミランが見せたのがプレッシングを主体とした4-4-2フラット型のシステムである。
この戦術が革新的だったのは、中盤までゾーンディフェンスの考えを持ち込み縦圧縮のプレッシングを実現したこと、また高度な戦術を習得させるための”鳥かご”などの練習理論を構築したところにある。FWからDFまで前後の間隔は30mに保たれ、そのためDFラインは高い位置でのプレーが要求された。中でもオフサイドトラップの活用は有名で、ボールホルダーに対してのプレッシャーの人数は最低2人以上でないとラインを上げてはならないなどの厳密な取り決めがあったとされている。 |
(5-2)4-4-2 AC MILAN OFFENCE
一方、攻撃時にはプレッシングからの早い両サイドの展開でゴール前まで一気に展開することによって黄金期のミランではまるで4トップのような形が多く見られた。
それが最もよく現れているのがサイドからのアーリークロス気味に入ったパスに対する鋭い反応と、そのときに詰める人数がどんな場合でも3人以上であることだ。逆SHがペナルティーエリアに侵入するか、もしくはCHの1人がゴール前に詰めるかなどして高速の展開からの数的有利な状態を作った上でのアーリークロスは絶大な得点力を誇った。これはこのときのミランと同様の質を持つ現在のキエーボにも共通して見られる点だ。 |
(6)4-3-1-2 FRANCE
98年ワールドカップでフランスが採用したのがトリプルボランチを用いた4-3-1-2である。
地元開催の利から十分な準備期間を得たフランスはエメ・ジャケの誠実なチーム作りによって組織的な守備とカントナに変わる世界最高レベルのMFであるジダンを生かすチームが生まれた。高い守備能力を持つ選手を組織的に配したことで後方のゾーンディフェンスは強固な守備ブロックを形成するに至った。攻撃時には前線の3人によるカウンターはもちろん、とりわけジダンの世界最高のキープ力を生かした後方からのサイド側のボランチやSBのオーバーラップは重要な場面で幾度となく相手のゴールをこじ開けた。 一方でジダンを要しながらもやはり守備重視による得点力不足は深刻で、実際には延長戦を辛くも制して勝ちあがった試合も多く、 決勝のブラジル戦を快勝していなければ印象はかなり違ったものになっていただろう。 |
(7)4-4-2 ENGLAND
2002年のワールドカップでイングランドが対アルゼンチン戦で見せた4-4-2フラットはフラットラインの活用の仕方のいい例だ。
ピッチを効率的にゾーンに分割でき、かつ可圧性に優れたこのシステムを守備的に応用すると後方のゾーンディフェンスが極めて効果的に実践できる。またこの試合ではアルゼンチンの3-4-3とマーキングの関係がきれいに成り立ってしまい、戦術的な拮抗状態をもたらしていた。本来ならばこういった数字合わせに意味はないのだが、イングランドの打った手が守備的で限定的ものであっためにこのような想定が可能になった。 |
(8)4-3-1-2 AC MILAN
2002-03シーズンにミランが見せたのは4-3-1-2システムの新しい考え方だ。
トリプルボランチを配したこのシステムでは、本来ならばアンカーとしてDFライン前方に貼り付くことが求められる中央の中盤底のポジションの役割が通常とは全く異なっている。ミランではこのポジションはレジスタと呼ばれるゲームメーカーポジションであり、ここにはピルロやレドンドいった攻撃的なMF(もしくはテクニカルボランチ)が使われている。例えばレジスタがピルロならば極めて正確なロングボールを相手陣内の深い位置に供給することで攻撃を組み立て、レドンドならばよりショートパスを多用した形が多く見られる。 中央に攻撃の得意なMFを入れる変わりに、両サイドにボランチタイプの選手を置いている。守備的な役割を負った両サイドが低い位置まで下がっているので4-4-2の特徴であるサイド攻撃というのはそれほど見られないが、MFも務めることの出来る能力の高いFWと中盤との連携や、深い位置へのレジスタからの正確なフィードからの展開などによって攻撃を組み立てていた。 しかしこの新しい形もセリエAの各チームがレジスタにマンマークをつけてフィードを警戒するようになると、ミランの攻撃は徐々に機能しなくなっていった。そうなってからは本来ボランチではないピルロよりも本職のレドンドを起用したほうが上手く行くことが多くなり、2トップも典型的なFWであるインザーギとシェフチェンコが勤めることが多くなった。それとともにミランの戦術にも変化が現れ始め、シーズン開幕時よりもかなり守備に重視を置く形に変質している。 一方で後方の4バックは全ての選手がCBまで務められる高い能力を有し、ゾーンによる守備が機能しており、シーズン後半のミランはこの辺の高い守備力が目立つようになっている。 |