選手選びはむずかしい・・・【2】

■選手選びとサッカー文化圏

イングランドとスペインの代表チームは、直前までメンバー構成を予想することが難しい。メンバーを固定して戦うというよりは、選手個々の調子などによって、入れ替わりが激しい。例えば、今回のW杯スペイン代表ルケ(マジョルカ)はW杯本番が初代表である。

これを逆説的に考えれば、メンバーの入れ替えを盛んに行ってもチームが機能してしまう『何か』があるということだ。そして、このことがイングランド、スペインのサッカーの本質を物語っている。


イングランドやスペインのサッカーファンはサッカーをわかっているといわれる。
それは試合の雰囲気を見ても明らかで、どれが良いプレーで悪いプレーか、という判断もそれに対するリアクションも適切である。もちろん、これはよく言われるサッカー文化の問題でもあるし、彼らの観戦歴の長さによるものでもある。しかし、彼らのその優れているといわれるサッカーへの理解が他の国にもそのまま通用するかといえば、実はそうでもない。
彼らの理解はあくまでも彼らの『所属するサッカー文化圏』を前提として積み重ねられたものであって、他の国にそのまま適応することは難しいのである。

イングランド人は、イタリアのサッカーもスペインのサッカーも語れない、つまりはそういうことだ。

もっと言えば、同じヨーロッパでお互い歴史もある、イタリアやスペインについては、「どうやら俺達とは違うサッカー観を持っているらしい」という認識はある、しかし日本など新興国でサッカー界において市民権を得ていない国のサッカーを批評する場合、完全に自国の価値観で批評を行うので彼らの発言を聞くときには、それこそリテラシーが必要なのである。

歴史ある国は固有のサッカー観を持っている、そしてそれは他のそれに対して寛容ではない__この事実は、他に類を見ないほど国際的なスポーツであるサッカーを語る上で欠かせない要素である。もちろん、これから語る選手選考についてもその例外ではない。


■フェアプレーと1対1の重視〜イングランドのこだわり〜

イングランドサッカーは、『フェアプレー』と『1対1』を重視するといわれている。
かつてロングボールを多用した戦術が行われたことも、観客にとってゴール前での1対1の肉弾戦が最も熱狂する場面だからに他ならない。もう一つ、単純に放り込み、そこでの戦いに勝った方がゴールするというシンプルな図式がフェアプレーを感じさせる、という要素もあった。

サッカーが多様化していく中で、オールドスタイルのロングボール戦術では勝利が困難になり、戦術の変更が余儀なくされた。しかし、現在のイングランドスタイルにもフェアプレーと1対1の精神は根強く息づいている。

戦術とフォーメーションはイコールではない__これは現代サッカーのテーゼの1つだが、イングランドにおいては必ずしも当てはまらないかもしれない。
現在のイングランドの多くのクラブで4−4−2が採用されている。その中でもかなりの数が4−4−2フラットといわれる最終ライン、中盤ともフラットな3ラインを形成する並びになっている。

これはシンプルな戦術だ。シンプル過ぎると言ってもいい。フェアプレーと1対1を追求した結果に表れたこの極端にシンプルな戦術は、平均化してきたと言われる現代サッカーにおいて、逆にその独自性が際立っている。フォーメーションからも必然的に1対1の場面が多くなることによって、選手個人の能力がダイレクトで現れ、その分まぎれも少ない。また、相手も同じ戦術という要素も大きい。

イングランド代表は国内のほとんどのクラブが同一の戦術を採用しているために、代表も自動的に同じ戦術になり、かつその戦術も選手の実力がダイレクトに反映しやすいもののため選手の入れ替えを激しくしてもチームが機能するのだ。

(GAITI) (続く__常時アップしていく予定です)