- ■DFラインから見る各国リーグの特徴(プレミア編)(2002/11/03)
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シリーズも最後を迎え、いよいよプレミアリーグの紹介です。
さすがはサッカー発祥国のリーグだけあって、マンチェスターやアーセナルなど、どのクラブの歴史、知名度ともに抜群。
稲本が移籍したことでその存在が日本でも一般的になりつつある昨今、このリーグの特徴はどういったものなのか?
- ■(いきなり余談)プレミアリーグの成り立ち
GKの川口が在籍しているのがD1ということに多くの人が疑問に思ったことでしょう。
D1なのに実際は2部リーグ・・・このカラクリを知るためにはプレミアの歴史を若干紐解く必要があります。
当然ながら昔はD1が1部リーグでありました。
しかしどこのリーグでもある資金力のある強豪チームはリーグのシステムに対して何らかの不満を持っているもの。
ある日、いくつかのビッグクラブが利益の分配方法をめぐって協会と対立していました。
それはついにD1からのそれらチームの脱退と新リーグの設立へ動いていきました。
そうして出来たのが現在の”プレミアリーグ”。他のリーグとはレベルが違うんだぞという意思が名前にも現れています。
当時は観客収入がその財源のほとんどであるので、人気クラブのリーグ脱退は協会にとって死活問題。ファンは当然新リーグを見に行くからです。
そんな状況では協会もなし崩し的にそれに従うよりほかありませんでした。D1はプレミアに2部リーグとしてプレミアの傘下に入るという屈辱を受けたのです。
そんな歴史を持つプレミアリーグは未だに強豪チームの言い分が優先される体質が根付いているのです。
過去の成績を見ても分かるように、これほど強豪チームが幅を利かせるリーグもそうはありません。
- ■プレミアリーグで最も顕著な特徴とは何か?
プレミアリーグで最も顕著な特徴とは?
1つ目が「リーグに所属する全てのチームが何らかの形で4−4−2戦術を採用している点」である。
しかもそのほとんどが4−4−2フラットである。これは異常ともいえる事態で、他のリーグを知るものにとって驚き以外の何物でもない。
しかし本人達(つまりイングランド人)はそのことに特に何の疑問も感じていないようである。
そしてもう1つが「リーグ全体に流れる鼻につくほどのプライドの高さ」である。
さすがに本家意識のためにワールドカップを不参加しつづけていた国はプライドの高さが他のリーグとは比較にならないようだ。
4−4−2を最高の戦術と信じ、本当に疑っていないようなのだ。(この辺りはオランダの状況と少し似ている)
三都主移籍の1件でもわかるように、外国人プレーヤーに対して敷居が高いのもこのリーグの特徴だ。
正直言ってこのリーグ、閉鎖的で少々息苦しい。
井の中の蛙何とやら・・・そんなリーグの戦術には当然ながら例えばセリエAで見られるような独特なルール(あるいは戦術)が存在する。
- ■4−4−2フラットの特徴
前述の通り4−4−2フラットが多いこのリーグでは、他リーグであまり見られないポジションが存在している。
それはセンターハーフ(CH)というポジションで、4−4−2フラットの中盤の4人の選手のことを指す。
この4人はボランチでもトップ下でもWBでもなく中盤から前線まで比較的自由にポジションを取ることが許されている。
CHは定常的にフラットにはならず、絶えず移動しながらCH同士、あるいはSBなどとその役割を切り替えている。
つまりプレミアではスペインと違い、セオリー通りにピッチ上を完全にゾーン的に分割して守備をするのである。
しかしこの一見先鋭的に見えるシステムには問題も多い。
まず攻撃面での問題から述べることにしよう。
ジーコ監督の初陣となったジャマイカ戦での日本代表のパフォーマンスでも同様の事例が見られたが、中盤が1ラインであると
ボールを持ったとき、あるいは奪ったときに前方の選手の人数の不足などからどうしても試合展開が早まってしまうのである。
試合中に本来、落ち着かせておきたいところでもそういった現象を引き起こすので試合全体の印象が非常に雑になる。
要は中盤の役割が固定化されていないために、ボールの落ち着けどころをよほどしっかり決めておかないと見つけにくいのだ。
このような戦術的特徴を持ったシステムのため両チームが、お互いにカウンター気味の速攻の応酬のような形を創り出してしまうことになる。
次に守備面での問題だが、
稲本がプレミアで最初に戸惑ったことは「中盤の選手が周りの事を気にせずガンガン上がって行くこと」だと言う。
これは上記のような理由でボールの出しどころ、あるいは落ち着けどころを早い段階で供給するために
中盤の選手はすばやく攻めの戦列に加わる必要があるためなのだが、これが展開の異常な早さにつながっている。
バランスをとりながらではなく攻めが停滞しないためにシステマティックに攻めに参加してくので、
裏を返せば中盤の守備、特にDFライン前方スペースの守備が若干手薄になることにつながっていく。
サッキ時代のACミランでもそうであったように、
ラインを形成するDFラインにとってこのエリアはまさに死の領域とも言えるポイントで、プレミアではここをつかれての失点シーンが頻発している。
ライン前方スペースは本来ならば中盤の選手が埋めるべきなのだが、プレミアのようなシステムではこれは行いにくい。
さらにDFにとって災難なのが、相手FWと一緒に後ろを向いて走りながら守備をするシーンも目立つことである。
こういったことが何故起こるかと言うと、4−4−2フラットでは形成するライン数の少なさ・中盤の攻め上がりの多さ・CHシステムによる試合展開の早さなどから
中盤とDFラインの距離が空きやすく、相手につかれやすいスペースが広大に生まれてしまうのである。
そういったことを未然に防ぐためにDFラインを半ば無理やり押し上げ、何とかそのスペースを無くしているのである。
そのため中盤が攻めにかかりっきりになってボールを奪われたりすると、既に高い状態にあるDFラインはひたすら自陣に向かって走る以外に対処の仕様が無いのだ。
- ■まとめ
このセンターハーフと言うポジションはプレミアの戦術の象徴そのものである。
普通、チームを構成する際にはDFラインから順に組み立てていくものであるが、プレミアを見る限りそういった形跡は一切見られない。
中盤以上の攻撃力を落とさないことに力を注ぎすぎ守備がおろそかになっているような印象を受ける。
中盤とFWがワンタッチでつなぐプレミアの攻撃は確かに華麗ではあるが、得点シーンは偶発的で、あまりにも中盤の自由度が高く
その守備での貢献度が時折低くなるために戦術自体にひずみをもたらしている。
かつてマンチェスターユナイテッドに所属していたDFのスタムが、失点の全ての責任を取らされる形になったことには彼も納得がいかないだろう。
- ■あとがき 〜シリーズを振り返る〜
世界各国のリーグは選手のレベル、国民性、経済状況などにより千差万別で、当然サッカーへのアプローチの方法も様々です。
このシリーズを読んでいただけたならご理解頂けるかもしれません。
本当ならばリーグの特徴を包括的に書くべきでしたが、それは非常に難しい上に文章が大変長大になりそうだったので、
説明する部分を限定することで上手くまとめることが出来るのではないかと思い書いた次第です。
納得行かない部分が多々あると思いますが、リーグの特徴と言っても全てのチームを包括することは不可能でありますので、
今回少数派チームは敢えて無視しました。
ご意見・ご感想・よくわからない所などなど、こちらのBBSで受けつけております。
あなたの斬新な意見をお待ちしています。
<seri>
- ■関連リンク
■DFラインから見る各国リーグの特徴(Jリーグ編)
■DFラインから見る各国リーグの特徴(セリエA編)
■DFラインから見る各国リーグの特徴(スペイン編)
■DFラインから見る各国リーグの特徴(プレミア編)<完結>