- ■「日本五輪代表×韓国五輪代表」(2003/07/24)」
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■お互いにに相手を意識しすぎた前半戦
コスタリカ、ニュージーランドと試合を重ね両サイドからの攻撃が形になり始めた日本五輪代表とアウェイでオランダ代表を下すなどゴールデンエイジといわれる韓国五輪代表の注目の対戦。前回の対戦時は大久保、松井など日本側が主力を欠いた状態だったので、ベストメンバーに近い形の日本が韓国のゴールデンエイジと戦うのは久々となる。
日本は最近の試合で多く見られた中山、大久保の2トップにトップ下に松井を配置する形ではなく、大久保の1トップに2列目に松井、前田を並べる形。山本監督はトップの選手とバックラインの人数の関係に気を使うので、この突然の変更は韓国の3バック対策の可能性もある。その他は最近の試合と同様のシステムで、両サイドに石川、根本、ボランチが阿部、鈴木、3バックに左から三田、青木、池田、GKが川島という3−4−2−1システム。
対する韓国はW杯でも見せたおなじみの3−4−3システム。中央1トップ気味にA代表でもある曹宰榛、左が全才雲、右に先の韓国での韓日戦での活躍の印象が強い崔兌旭。中盤はダイヤモンド型でトップ下に金斗ヒョン、左が金東進、右に崔源權、ボランチは金正又となり、ディフェンスは左から趙星桓、A代表でもレギュラーでこのチームのキャプテンでもある曹秉局、朴容昊、GKに金永光という並びだ。
前半、日本はシステム変更が裏目に出る。
1トップの大久保は裏への意識が強く、時折良い動きも見せているのだがそこにパスが出ず前線で孤立し、反対に前田はボールを受ける意識が強すぎて低い位置まで下がってボールを受けることに終始してしまったため、前線で全く起点が作れなくなってしまった。前田が低い位置まで引いてきてしまうので、逆に韓国のプレスの開始位置が明確になってしまい、そのエリアのプレッシングが強化されてしまった。日本は過去2試合、阿部からサイドへのミドルパスで攻撃の起点を作っていたが、結果的にボランチの位置からの組み立てが出来なくなってしまった。R・ソシエダのコバチェビッチや京都の黒部のように低い位置まで引いてポストになるプレーは、ゴール前に飛び込むプレーとのバランスが大事で、どちらか一方に偏るとチーム戦術の機能を妨げてしまう。前半20分過ぎから前田と大久保がポジションをチェンジし状況打開を狙ったが、両ポジションでの役割分担が不明瞭のため有効ではなかった。
(余談だが、R・ソシエダの2トップ、ニハト、コバチェビッチはニハトが前で、コバチェビッチが後ろという縦の関係で非常に見事に機能しており、まずコバチェビッチが下がってボールを受け、ニハト、コバチェビッチの順で素晴らしいタイミングでゴールに飛び込んでくる)
日本のシステム変更は対戦相手の韓国を意識したものである可能性が高いが、韓国の方も日本をかなり意識していた。特に監督も語っていたように日本のサイド攻撃は相当警戒しており、サイドのスペースのケアには万全の備えをしていた。先ほど取り上げた阿部からのフィードが皆無だったことはサイドのスペースを消されていたためでもあり、この意味では韓国の作戦は成功したと言っても良い。しかし、反面韓国得意のサイド攻撃も使えなくなってしまい日本、韓国ともサイド攻撃が機能しないという両チームの得意な部分を消しあった形の前半戦になってしまった。韓国が、前半終わりに2列目左サイドに崔成國を入れサイド攻撃の活性化を図ったのはそういった流れを感じてのことだろうが、効果は薄かった。
両チームとも有効な攻撃の形を作れなかったにもかかわらず、韓国が優位に試合を進めたのは韓国選手の個人能力の高さはもちろんあるが、それ以上に日本の守備が機能していなかったせいだ。特に上記のような理由で前線に大久保しかいなかったので、相手バックラインに対してチェックに行けず、前線からの守備が機能しなかった。こういった前線のチェッキングは、松井やSHが多少長い距離を走ってつめるなど、約束事を作っておいたほうが良いのではないだろうか。
■ディフェンダーの対人能力の差が出た後半
後半日本は前半の問題の大部分を修正してきた。
まず、前田の故障で変わりに入った中山をトップに配置し、前線のロングボールに競ることが出来るようになった。引き気味のポジショニングを取っていた前田に代わって中山を投入したことにより攻撃にかかる前線の人数が増え、その影響で前線からのチェックも効くようになり、それにより、前半低い位置からスタートしていた両サイドが高い位置を保てるようになり攻守の切り替えがスムーズに行えるようになった。また、前半ほとんど攻撃にからめなかった阿部、鈴木のダブルボランチが阿部が前、鈴木が後ろといったように縦の関係で役割分担が明確になり、後半開始直後の阿部からのパスで松井が抜け出した場面のように阿部からの攻撃の展開も見られるようになった。
要は日本本来の実力が出せる状態になったということだが、サイドから石川や根本が抜け出しクロスを上げるなど攻撃の形は作れるもののフィニッシュの形までいった回数自体は少ない。というのも、ダイレクトパスを多用するわりに選手同士の連携が悪く、中央からのパスワークでの崩しが効果的に使えないからだ。個人的意見だが、中央からのパスワークを攻撃のオプションに加えるのは山瀬の復帰待ちになるかもしれない。
後半も全体的に韓国ペースだったが、日本がペースを取っても全くおかしくない展開だった。後半、日本は前半の問題点を修正し、組織的な機能の問題は解消され、攻撃の形も作ることが出来た。しかし、それでも押し込まれてしまったのは前半30分に池田が金斗ヒョンにゴール側を空けて抜かれたプレーに代表されるディフェンダーの対人技術の低さの問題で、こればかりは戦術的にはどうしようもない。特にディフェンダーの高さが無いことは致命的で何度も単純なロングボールに競り負けてしまい、全体が押し込まれる原因になってしまった。これから強豪国と対戦するにあたって、高さのあるレイソルの永田や対人能力の高い角田や今野をディフェンスに起用するなどディフェンダーの人選に抜本的改革が必要だろう。
ただし、戦術面でのミスもあった。
例えば、ディフェンダーが揃ってディレイするときにラインが揃っていないことが多く、特に池田が深いポジションを取ることが多いことが目に付いた。ディレイするときにギャップを作ってしまうとディレイする意味が薄れてしまうので、ポジション取りにはもっと気を使うべきだろう。
もう1点、後半7分に根本と三田の間にスルーパスを通され崔兌旭に抜け出されたシーンの根本のポジショニングについて。根本はこの時、中へ絞ったポジションを取っていたが、状況を考えればどう考えても崔兌旭につくか、最終ラインに入って左サイドのスペースを埋めておくべきだ。こういった戦術的な面は意識次第で改善可能な点なので、是非何とかしてもらいたい。
また、日本の失点シーンは、池田からのバックパスを青木がダイレクトでボランチに出し、相手にさらわれたもので、またもディフェンダーのパスミスからの失点となってしまった。スリッピーなピッチ状況で踏ん張りが利かずタイミングが合わせづらい部分はあったのだろうが、そう言ったことも計算に入れてプレーすべきだろう。確かに、ダイレクトプレーの意識が高すぎて1つ1つのプレーが非常に雑だった一時期よりはボール回しに緩急が出てきたが、状況を考えないでプレーするといった本質的な問題は依然解決していない。同様のミスが続くのはもはや偶然ではなく、必然と捉えるべきで、本質的な解決を期待したい。
(GAITI)