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J-league division1 5th-week
・アルビレックス新潟 vs 横浜Fマリノス (1-3)
[ 新潟 スタメン ] | [ 横浜FM スタメン ]
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ファビーニョ エジミウソン | 久保 清水
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鈴木 寺川 | 奥 佐藤
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桑原 山口 | 那須 上野
宮沢 喜多 | ドゥトラ ユ
丸山 アンデルソン | 松田 中澤
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野沢 | 榎本(達)
今回はJ1リーグ第5節から新潟対横浜FM戦をレポートする。
市原戦でチーム作りのミスを露呈し、昨年度のサッカーに原点回帰した横浜の変化に触れる。
■帆をたたむ理由
岡田監督は市原戦に負けた後、選手たちに謝罪を行った。
現役のチーム監督が自分の非を認めること自体、非常に珍しいことだ。
自分が行ったチーム作りのミスについて、監督はそれを「船の帆を大きくしすぎてしまった」と表現していた。
つまり実力以上のことをしようとしてしまった、難しいことをやろうとしていたと。
具体的な施策が岡田監督の口から語られることはなかったが、永く試合を見ていれば推測は出来る。
おそらく岡田監督が行いたかったのは後ろから組み立てるサッカーだろう。
後ろでボールを回し、組み立て、相手を惑わし、前線にいいボールを供給するパスサッカーは、確かに難しく大きすぎる帆だったように思う。
岡田監督が事あるごとに磐田のサッカーを引き合いに出しているのも憧れの部分が大きかったのだろう。
なぜそんなことが言えるか?
それは昨年度とは2トップに与えられた役割が全く違ったためだ。今にして思えば、構想の第一歩はマルキーニョスの放出から始まっていたのだ。
試合を見る限り、マルキーニョスのFWはよく機能していたにもかかわらずこういう事態になったのには、
彼が監督の目指すボール回しに求められるようなテクニックを持ち合わせていなかったというのがその理由だろう。
彼の変わりに獲得したのがアンジョンファンであったのも、岡田監督が得点力不足ではなくテクニックを求めたのは明らかだった。
次に起きたのは2トップの拘束の解除。
岡田監督は「うちは他のチームより2トップに求めることが多い」と言っているように、攻撃時には後方からのロングボールや楔のボールを体を使ってキープさせることで後ろの上がりを助け、お互いが「ゴム紐のように」近づいては離れ、離れては近づく動きを繰り返すように求めた。
また守備時には4-4-2のボックス型で生じる相手ボランチへのマークを2トップのどちらかが必ず下がって行うように指示していた。
うまり、岡田監督のサッカーは総じて2トップの攻守にわたる過剰な労働によって支えられていた部分があった。
ところが、新しく入ったはずのアンジョンファンに対して岡田が行った指示は
「出来るだけ自由にやりなさい」
というものだった。
その言葉の通り、アンは自由にサッカーを行っていた。
守備には全く参加せず、攻撃の時にはサイドに開いてボールを受けるのが好きな彼らしく常にサイドに張ってボールが来るのを待っていた。
久保との距離は遠のくばかりで、パスカットを狙う相手の格好の標的だった。
アンに昨年度のような指示がされてなかったのは明らかだった。
2トップに与えられた自由を良い方向に消化することができなかったのが、今シーズンの横浜のチーム作りの失敗の象徴でもあったのだ。
なぜ昨年のサッカーを崩してまで、このようなスタイルにこだわったのかはいまだハッキリしないが、
岡田監督はこの泥臭いサッカーを試行しながらも、自己批判的な部分があったことは事実だ。
前線に依存しすぎるサッカー、機能性重視で華麗なパス回しを、磐田のようなパス回しを絶対に行えない自分のサッカーに対して。
■変化した攻守の約束
選手が全力でピッチを走れるのは、監督の戦術や仲間の動きが正しくと心から信頼できるからだ。
岡田監督は謝罪によりあえて自分のミスを公にすることにより、チーム内に漂う自分の戦術への不信感を払拭することに成功した。
それと同時に、とりあえずファーストステージの間にチーム戦術を昨年度の段階にまで戻すことを決めた。
人情味ある岡田監督ならば、
「君たちのキャリアの一部を私の判断ミスが原因で不出来なものにしたことについて、大変申し訳なく思っている」
という一言が添えられていたに違いない。
とにもかくにも、横浜は時計の針を戻し、チーム戦術を昨年度の段階まで引き戻すことにしたようだ。
つまり再び2トップに対する多くの要求が発生することになる。2トップの一角にはアンではなく、昨年度も控えだった清水が先発している。

(『J SPORTS:2004年シーズンJ1リーグ1stステージ第5節 新潟 vs 横浜FM』より)
図は横浜の守備時の対応を表したものだ。
これは昨年、幾度も見られ、今シーズンなかなか見ることが出来なったFWの守備のシーンだ。
上述のようにボックス型の布陣では難しい相手ボランチへの対応は、FWが下がって行っている。

(『J SPORTS:2004年シーズンJ1リーグ1stステージ第5節 新潟 vs 横浜FM』より)
ボックス型といっても、相手への対応でフラット気味になるシーンも実際は多い。
図は新潟がサイドでボールをキープした際の横浜の対応のシーンだ。
中盤はボックス型ではなくフラットになり、この場面でもFWの一人が下がって相手ボランチのスペースをケアしていることがわかる。
■2トップのゴム紐の動き
復活したチーム戦術により、横浜特有の2トップに早い段階でボールを当てる攻撃と2トップのゴム紐の動きが再び現れることになる。

(『J SPORTS:2004年シーズンJ1リーグ1stステージ第5節 新潟 vs 横浜FM』より)
図は2トップが縦の関係になった場合の2トップの動きだ。
2トップが縦の関係になる場合、ディフェンスラインとの関係上、奥行きを生かして入るタイミングにギャップを作れるので、それを生かした攻撃を行う場面がよくある。
ここでは久保が前線で基点を作ることで相手のマークを引き付け、遅れて入った清水がそのサポートに回り、
ディフェンスが2トップの対応に追われたことで生じたゴール前のスペースに、佐藤が得意の飛び込みを見せている。

(『J SPORTS:2004年シーズンJ1リーグ1stステージ第5節 新潟 vs 横浜FM』より)
先ほどの2トップの動きは、遠い関係から近い関係になることでお互いのサポートを行うというパターン。
図の場面は、今度は近い関係から遠い関係になることで相手のマークを分散させる動きだ。
並走していた2トップが突如両サイドに走り出す。
ボールが出たサイドにまずマークを集中させざるを得ないの久保のマークが甘くなっている。
■後退の中での進歩
周囲は決してそうは思わないだろうが、岡田監督は今回の一件を”後退”と捕らえているはずだ。
常に高いレベルを目指す岡田監督にとって非常に残念な出来事であっただろうが、
チーム戦術を昨シーズンまでのもに戻したからといって、今シーズン横浜が新しく取り組んできたことが疎かになったわけではない。

(『J SPORTS:2004年シーズンJリーグ第2節 市原 vs 横浜FM』より)
図は市原対横浜FM戦で見られた奥の2列目からの動き出しの例だ。
意外に思うかもしれないが、奥はマークの中で消えながら前線にポジションを取るのがうまい。
この場面では市原の厳しいマークを振りほどいてDFラインの裏でフリーになる動きが出来ている。
これは今シーズンの横浜の攻撃におけるテーマのひとつだ。
昨シーズンまでは奥が前線に顔を出すこと自体が稀な出来事で、正直に言えばかなり気になっていたプレーだ。
攻撃的MFとしてあまりに点に絡むプレーが少ないことに戦術的な問題を感じたものだが、
岡田監督はこの問題に対して一年間は保留とすることで段階的解決を図ってきたようだ。

(『J SPORTS:2004年シーズンJ1リーグ1stステージ第5節 新潟 vs 横浜FM』より)
こういった奥の2列目からの動き出しは、今回取り上げた対新潟戦でも頻繁に見られる。
図は横浜の2点目のシーンで、守備的な対応を行ってきた新潟のディフェンスの間隙を縫って巧みにマークを外すと、
最後はカバーに入ったアンデルソンを得意の反転ドリブルで交わしてループシュートでゴールをするというこの試合のハイライトシーンだ。

(『J SPORTS:2004年シーズンJ1リーグ1stステージ第5節 新潟 vs 横浜FM』より)
奥の得点はまだ続く。
図は2点目のリプレーではなく、横浜の3点目のシーンだ。
「奥がフリーになって空いたスペースに走りこみ、ボールを受けてペナルティーエリアでキープすると相手を交わしてシュート・・・」
という全く同じといって過言ではない奥の得点シーンだ。
新潟の守備で問題だったのは、横浜の攻撃陣に対してマンマーク気味に対応したことで、本来の4バックの利点である
ゴール前の空間をゾーン的に生める守備が出来ず、スペースをいくつも生じさせていたことだ。
奥が中盤で誰がマークするはずだったのかも問題だが、スペースがあることで奥が飛び込む隙を与えてしまったのも事実だ。
自分の背後に出没する奥を敏感に察知してカバーしたがために、何度もかわされる羽目になったアンデルソンには気の毒としか言いようがない。
■今後の課題
試合内容としては横浜の完勝といった印象だったが、新潟は試合終盤に攻勢に出て何とか1得点しただけに、前半の大量失点が悔やまれる。
昇格したばかりの新潟の力が横浜のそれを下回っているのはしようがないにしても、反町監督が何をしたかったのか今ひとつわからなかったのが気になったところだ。
当面は負けるべき相手には引き分けを狙いながらもしっかり負けて、特にホームでの勝てる対戦に全力を注ぐという残留を見越した戦い方が続くだろう。
対して横浜はチーム方針を切り替えたことで明らかに状態が好転している。
ここまで早くチーム状態を持って返すことが出来たのには驚きだ。
一方で、アンがこのチームにフィットできるのか、代表選手を大量に取られた上に、彼らの半数が試合に出場する見込みがないことを考えるとコンディション維持に岡田監督は頭が痛いところだろう。
ファーストステージは磐田が一歩抜け出した感があるだけに、チーム状態を考慮し勝負はセカンドステージになるだろう。
(seri)
■関連リンク
・「磐田x横浜(1st開幕戦)」(2003/03/25)
・「岡田マリノス 〜チーム構築の軌跡〜」
・「完成度の差(市原 x 横浜FM)」(2004/03/28)
<目次>
■帆をたたむ理由
■変化した攻守の約束
■2トップのゴム紐の動き
■後退の中での進歩
■今後の課題
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