■DFラインから見る各国リーグの特徴について
何を書けばいいのか・・・と散々迷った挙句に、とりあえず私の考えた各国リーグの特徴から上げていこうかと思います。
かなり仮説や仮定を前提としているのであやしく聞こえるところもありますが、気長に呼んでみてください。
そう・・・まずはJリーグの特徴から書いていきましょうか。
Jリーグが始まって10年ほどですが、おそらくサッカーの歴史上こんなに急激にレベルの上がったリーグはないでしょう。 現状では世界のトップとは言いがたいですが、ほとんどの国のリーグが欧州のビッグマネーの影響で衰退してしまった状態で一応まともに運営されていますから。 ランクをつけることに意味があるかどうかはさておき、実際のところ世界で15番前後くらいのレベルのリーグでしょう。

このリーグの最大の特徴は何と言っても『極度に戦術的である』ことです。
選手の能力は欧州に比べ決して高くないことにほぼ間違いありません。 それでも見ていて面白いと感じるのは、例えばN−boxなどの『他のリーグでは絶対に見られない』 であろうシステムや戦術に出会えたりする喜びがあるからです。

なんだかんだ言っても日本人は真面目ですし、監督が優秀であり、ある程度の選手がいて、ある程度の戦術を機能させるのは欧州リーグに比べそう難しくはありません。 もっと言えば、欧州のようにビッグマネーが発生していない分チーム間の選手の個人能力の差がさほどなく、戦術さえしっかり組み立てられれば 降格争いの常連の市原のようなチームであっても意外に上位に組み込めることも可能であったりします。逆もまたしかりですが・・・

■Jリーグの戦術の特徴について
チーム間の選手の能力にはそう違いはない。となると何によって成績が左右されてくるのか?ということで戦術が出てくるわけです。 (監督は無視できない存在ですが今は純粋に戦術について書きます)

皆さんもうお気付きかもしれませんが、Jリーグには3バックが多い!
他のリーグ(セリエAやドイツを除く)に比べ異常に多い!
普通に考えれば『代表が3バックだから』で済んでしまいそうですが(・・・実は私もそう思っていましたが)事はそう単純ではないことに気付き、 実証を重ねてまいりました。

まずおかしいなと感じたのが世界中どこ探しても4バックなことです。3バックがクラブレベルで残ってるのはおそらくJリーグとイタリア・ドイツくらいでしょう。 つまり世界的に見ても3バックは特殊な戦術で、理由はどうあれ4バックの方が戦術的に有利なようなのです。

もちろん3バックを採用する監督が少なく、監督交代の頻繁な現代では4バックが応急処置としての戦術として採用されたりもしますが それでも何故あえてJリーグは3バックが多いのか?
つまり一見不利に見える3バックにも何らかの有利な点が潜んでいる(少なくともJリーグの中では)ということが推測できます。

■3バックと4バック
3バックと4バックの最大の違いは?もちろんDFの人数に違いでしょう。特にマークの仕方がだいぶ違います。
3バックは相手が2トップなら2マーク1カバーが基本ですが、4バックはもっとフレキシブルで特にSBの”中央への絞り”と”ラインの裏へのカバー”はかなり特徴的な動きです。

こう書くと4バックに比べ3バックは単純なところが多いように思えてきます。中央スペースを3バックで固め、オフサイドもスイーパーが上がればいいし、人数が少ない分ラインもそろいやすい。 しかし、サイドは確実に空きます。この問題は3バックだけで解決できる問題ではないのですが、でもここが世界のスタンダードとならない最大の理由でしょう。

私が思うに、4バックで3バックと同様の中央の強さを出そうと思うと、単純にCBが強くないとやっていらないことに気がつきます。 つまりヘディングに競り負けた時点で中央で既に数的有利ができてしまうことがよくあるからです。 かといってロングボールをオフサイドに取るのも簡単ではなく、大抵の場合は跳ね返すしかありません。跳ね返せないとラインを押し上げることもできずズルズルと引くことになりますね。

現状で標準的な4バックに耐えうるCBは鹿島アントラーズの秋田とファビアーノくらいの能力でしょう。 感覚としてはこの選手達のレベルで上記のことをまともに機能させることができると思います。 つまり欧州のように身長180cm以上しかCBできないようなところではまだしも、日本人だけのチームには基本的には4バックを高レベルで機能させることは相対的に言ってほとんど無理なのだと思います。

『強いCB』。どうもこれがキーワードのようです。

■結論として
現実問題として3バックで中央は強くなりますが、次にしなければならないのはサイドのカバーリングです。 毎回CBがサイドに引っ張り出されていたのでは90分間での失点はほぼ確実です。具体的には8割方のチームがWBを下げるなどして中盤との連携で問題を解決します。 連携とはつまりマークの受け渡しに始まり、特にWBがDFライン近くまで守備に回る時間をどこかで作らないと簡単にサイドを突破されてしまいます。

その対応としてまず上げられるのが前線と中盤の早い連動したチェックによって相手の速攻までの時間を遅らせるのが1つです。それを機能させるために中盤に人数をかけて数的有利を早めにつくる。 これなら相手も簡単にはサイドにフリーでボールを運ぶことはできません。中盤を越すようなロングボールには中央を強化された3バックに跳ね返されるか もしくはオフサイドトラップに引っかかるかの大体はどちらかです。(もちろんプレスが効けばの話ですが)

これってかなり組織的な印象ですよね?
3人のDFだけで考えると弱点をさらした3バックですが、中盤まで指向性を持たせた戦術がうまく機能すれば意外に行けるかも知れない戦術になりました。 これだと3バックの弱点がうまく解消されている上に中盤の厚みも生む現在のJの状況にかなり似てきました。
結論として、
『日本のサッカーは強いCBが少ないせいで3バックが多く、サイドのカバーリングを意識する結果、中盤が厚く組織的サッカーをしくチームが多い。』

・・・これだけ読むと3バックなら中盤が厚いのかと思ってしまいますが、セリエAも3バックですが・・・中盤は皆無に等しい状況。話に矛盾ができてきました。 これにはもちろん理由があるのですが、もうスペースが・・・。次回はセリエAの特徴を挙げていきます。

<seri>

※追記
このコラムは全く私の私見に基づいて書かれていたのですが、名古屋グランパス監督のベルデニックが偶然にも同じようなことを発言していましたので参考までに関連リンクに加えておきました。 現役の(有能な部類に入る)監督が3バックと4バックをどのように考えているのか非常に興味深いです。

■関連リンク
■J1監督アンケート(ズデンコ・ベルデニック)
■DFラインから見る各国リーグの特徴(Jリーグ編)
■DFラインから見る各国リーグの特徴(セリエA編)
■DFラインから見る各国リーグの特徴(スペイン編)
■DFラインから見る各国リーグの特徴(プレミア編)<完結>