転載と引用の違い

 「著作権法上の引用」とは、一定の条件を満たすことで著作権者に特に断りなく掲載を行なうことが出来る方法のことです。

 一般に著作物の掲載に関しては「転載」と「引用」の2つの方法があります。
 転載とは著作者の許可(口頭でも可)を得ることを条件に掲載をする方法ですが、引用の場合にはこういった許可を必要としない代わりに掲載に関して厳しい条件が設けられています。

著作権法上の引用に関する条件

 まず『著作権法第32条(http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html)』より

(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。(平十一法二二○・2項一部改正、平十五法一一九・2項一部改正)

 また『社団法人著作権情報センター』より

 自分の著作物に、引用の目的上正当な範囲内で他人の著作物を引用して利用することができる。ただし法の認める「引用」というのは、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものであって、また引用される部分が「従」で自ら作成する著作物が「主」であるというような、内容的な主従関係がなければならない。さらにかぎ括弧を付けるなどして引用部分を明示し、かつ著作者名、題名などを明らかにする出所の明示をしなければならない。

などがあり、過去の判例などを含めた「著作権法上の引用」に際して必要な条件は以下のように定めることが出来ます。

  • 報道・批判・研究が目的であり、正当な範囲内(複製は必要最小限)で用いること
  • 出所(著作者名や作品名など著作物を特定できるもの)を明示すること
  • どこからどこまでが引用かはっきりわかるようにすること
  • 自分の著作物が主、引用部分が従であること
 上記の条件が満たされている場合、著作物(またはその一部)を「著作権法上の引用」として掲載することが可能です。

複製権の制限と著作権法上の引用の関係

 一般的な著作物の場合と異なり、TV映像などの場合には「複製権」の問題が絡んできます。

 「複製権」とは「放送を録音・録画及び写真的方法により複製する権利」のことで、ビデオソフトをダビングしたり、テレビ番組を録画したりするための権利です。 現在はビデオデッキの普及率も高く、簡単にソフトのダビングができてしまいます。しかし、ダビングしたソフトの使い方によっては、著作権者の権利を侵害する行為になるのです。

 例えば、気に入つたソフトをダビングして友人にプレゼントしたとします。これは明らかに複製権の侵害行為になり、ダビングしたテープは、著作権者の許諾を得ずに製造された"海賊版"になります。

著作権法第21条(複製権)(http://law.braina.com/html/05_01_002000_003000_003000_021000.html)
 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

 複製権の概要は以下のようになります。

  • 複製権とは著作物の複製をする権利である。
  • 著作者は自身の著作物に対する排他的な複製権をもつ。
  • 他人は、許諾なく著作物を複製することができない。
  • 複製とは著作物を、印刷、手写、写真、複写、録音、録画、その他の方法によって、有形的に再製することである。具体的には、下記のような行為を言う。
     (例1) 書類を複写機でコピーすること
     (例2) 印刷して本を作ること
     (例3) 音楽CDを録音すること
     (例4) 映画放送を録画すること
     (例5) 絵画をスキャナで読み込んでデジタル化すること
     (例6) ハードディスクに保存すること
  • 複製権の制限
     以下のような場合には、著作権者の許諾を受けることなく、著作物を自由に複製できる。
     (1) 研究論文等の目的で他人の著作物を引用する場合
     (2) 公園等の屋外に設置された美術を撮影・送信する場合
     (3) 個人・家庭内など、私的利用のために複製する場合
     (4) 一定の試験問題として複製する場合
     (5) 転載禁止の表示がない時事論説を新聞に転載する場合
     (6) プログラム所有者が自ら利用する必要から複製する場合
 つまり「複製権の制限」から、「著作権法上の引用」の場合には著作物の複製を行なうことが可能です。

道義的・倫理的な問題を含む解釈の問題

 上記のことから「著作権法上の引用」の形式に則れば著作物の掲載を行うことは可能ですが、やはり道義的・倫理的な側面から引用にはそのことによって「著作者に損失を与えない(限度を超えた著しい引用など)」「著作者の社会的信頼性に害を与えない(限度を超えた批判など)」ようにすることが前提であるべきと考えます。

 しかしながら、「著作権法上の引用」の条件である「自分の著作物が主であり、引用部分が従であること」は、どういった割合であればそういった主従関係にあたるのかなどは法律上明記されておらず、過去の判例や解釈に頼っているのも事実です。「どの範囲までが社会通念上の引用にあたるのか?」という意識を、掲載者自身が常にもっておく必要があります。

関連リンク

財団法人著作権情報センター : http://www.cric.or.jp/