【チャンピオンズリーグ分析】 チェルシーvsバルセロナ

 CLノックアウトラウンド。ベスト8を決めるべく組まれたチャルシー対バルセロナという大会屈指の好カードは、早くも実質的な優勝決定戦の様相を呈していた。今季、国内リーグで圧倒的なパフォーマンスを示しているこの両チームの戦いは、他の凡百な試合を遥かに凌駕する戦略の応酬が繰り広げられていくことになる。
 今回は、ホーム&アウェーで行なわれたこれら2試合通じて、おもにチェルシーがバルセロナの攻撃と守備をどのようにして攻略しようとしたかを、戦術・戦略の変化とデータいう2つの視点から分析することにする。

両チームの特徴と基本的戦略の確認

 対戦前の前評判が高かったのは、リーガエスパニョーラで首位を走るバルセロナの方だった。
 今季のバルセロナは[4-3-3]の布陣を用いながら、チームの伝統である”華麗なる攻撃サッカー”を見事に体現している。対戦チームにほとんどボールを触らせないポゼッションスタイルを採用し、ロナウジーニョ・エトー・デコらタレント陣が流動的な動きの中で繰り出すパスやドリブルで、相手を圧倒してしまう。守備においては、前線の高い位置からの素早いボールチェックで相手に反撃の隙を与えない。バルセロナというチームは、本質的に守備はそれほど得意ではないが、それゆえに豊富な攻撃の駒を持つ自分達の良さを最大限引き出すためのスタイルを模索していった結果、「いつまでも攻撃し続けるには、どうすれば良いのか」というかつてオランダが産んだトータルフットボールと全く同質のコンセプトへ帰着する。バルセロナはそのコンセプトから戦術へとつながるアプローチを現代風にアレンジすることで、他のチームとは異質の強さを得た稀有なチームだろう。

 一方のチェルシーは、バルセロナと同様に[4-3-3]の布陣を用いながらも、対照的なサッカースタイルをとっている。
 リーグ戦では3試合で1失点もない非常に守備の堅いチームで、今季から就任したモウリーニョ監督がチーム発足以来、徹底させてきたタスクの遂行とそれに伴うメンタリティーの強化がうまくいき、見えない芯が一本通ったような強い団結力も見せている。もちろん彼らはただ守るというわけではなく、その前線にはこういったタスクをこなしながらも素早く攻撃に転じることもできるタレントそろえており、単に1点差で勝つことのみを追及したチームではないことがわかる。相手のボールを奪ってからのカウンターは絶対の威力を誇り、例え相手にボールを支配されたとしても、巧みにゲームをコントロールすることが可能だ。

 バルセロナはチェルシー自慢の守備を先に崩せれば勝ち、逆にチェルシーはバルセロナ攻撃力の裏返しである守備のわずかな隙を突いて得点できれば勝ち。多くの評論家筋の予想通り、実戦ではバルセロナのボールポゼッションの高さが際立ち、2試合でそれぞれ68%、58%という数字をたたき出している。ボールを支配ながら攻撃し続けるバルセロナに対し、チェルシーはそれを防ぎ高い集中力を保ちながら反撃の機会をうかがう。そういう形で、ゲームは展開していくのだった。

【第1戦】 モウリーニョの誤算

■ チェルシーの戦略【その1】 〜両SBへの対応〜


 第1戦でチェルシーが対バルセロナ戦に備えて準備した策は大きく分けて2つある。その1つは相手の両SBへの対応である。

 左図は、バルセロナのLBであるファンブロンクホルストの、右はRBであるベレッチのホットゾーン(ボールタッチしたエリア)を示したものだ。これを見てわかるように、両選手ともサイドのそれも非常に高い位置でプレーをしていることがわかる。ベレッチに至っては、最もボールを持ってプレーしたエリアがSBであるにも関わらず相手陣内であるというデータが出ているほどだ。お互いの布陣が[4-3-3]であるために、各ポジションで綺麗にマッチアップが組まれてしまっており、そのため相手のSBへの上がりに対しては、それに対面することになるWGがマンツーマンで対応する以外に良い対処法がない。仮に中盤の両サイドが対応してしまうと、攻撃的なパスを配給するデコやシャビに対するプレッシャーがなくなり、そうなればチェルシーの負けは必至になる。


(『SkyPerfectv:UEFAチャンピオンズリーグ04-05 バルセロナ vs チェルシー』より)

 つまりチェルシーとしては、相手の3トップ、3MF、両SBにそれぞれ対応するようにDFライン+MFのブロック+両WGのマッチアップ([4+3]+[1・1])という1トップを残した守備の体制を作らざるを得なかった。ただ、こうしたチェルシーの守備的な姿勢がその後の大きな局面の変化に対応することを難しくさせたのだが、そのことについてはまた後述することとする。

■ チェルシーの戦略【その2】 〜DFラインの裏を突く〜
 既に示したようにチェルシーは守備にかなりの自信を持つチームのため、事前の戦略を練ればある程度失点の計算も成り立ってしまう。その一方で問題だったのは、守備に追われる中で数少ないチャンスをシュートにつなげることができるかという点だった。守備に人数を割くチェルシーのこういった布陣では、攻撃のために人数も時間もあまり多くはかけられない。ならば当然、ゴールまでのアプローチは直線的である必要があった。


(『SkyPerfectv:UEFAチャンピオンズリーグ04-05 バルセロナ vs チェルシー』より)

 そこでモウリーニョがとった戦略は、ドログバの高さを活かす方法だった。
 図は、ドログバにロングボールをあわせた際の周囲の動き出しの様子を示したものだ。チェヒからのゴールキックはほとんどの場面でワントップのドログバを狙ったもので、もちろん高さのあるドログバにボールを競らせるのは当然としても、その周囲の選手の動き出しには明らかに戦略的な意図が隠されていた。図で示すように、ドログバがヘディングの体制をとった瞬間、両サイドのWGがその後方に引き寄せられるように斜めに走りこんでいる。もちろんドログバもその動きを事前に認識しており、競って落としたボールのほとんどを後ろに反らすようにヘディングすることで、そのこぼれ球を味方に拾わそうとしていた。

 モウリーニョはゴールへの直線的なアプローチを実行するために、バルセロナの高いディフェンスラインの裏を狙ったのだ。反らしたボールがDFラインの裏にこぼれ、それを快速を飛ばし走り込むWGが拾うことでGKとの1対1を作り出す。そういう青写真を描いたのだろう。だがこの試みは失敗に終わる。まずバルセロナの監督であるライカールトは、現役時代にイタリアのACミランでDF・MFとして活躍した伝説的な選手だった。こうしたライカールトの指導と、戦略家としても知られるアシスタントコーチのテン・カーテの手助けもあり、バルセロナのDFラインは以前とは全く異なる非常によく整備されたものへと大きく変貌していたのだ。

 この場面では、ロングボールに対してDFラインからマルケスが飛び出してまずはその対応に当たらせ、残りの3人はDFラインを形成しながらこぼれ球へのカバーリングを行うように、落下地点のやや後方にポジションをとっている。前線に放り込んだロングボールからラインの裏を狙うつもりで反らしたボールのほとんどは、マルケスとCBのコンビを組むプジョルに楽々とクリアされており、チェルシーは試合を通じて攻撃にならない攻撃を繰り返すことになる。相手の守備のレベルを過小評価したモウリーニョの戦略的ミスは明らかだった。

■ ディフェンスサイクルの崩壊 〜ポイントとなったドログバの退場劇〜


 ロングボールのこぼれ球から得点を狙う策は不発に終わったものの、チェルシーは数少ないカウンター攻撃からベレッチのオウンゴールを誘い、貴重なアウェーゴールによるリードを保っていた。両サイドのマッチアップと中央に形成した守備のブロックも、ポジションを頻繁に入れ替えるバルセロナの選手達によく対応出来ており、守備の組織は十分に機能していた。

 拮抗した状態が続くこの試合の大きなポイントとなったのは、ドログバの退場劇だった。そこまで絶妙なバランスを保っていたチェルシーの守備がこの退場を発端に、徐々に崩れ始めることになる。
 チェルシーはドログバの退場後、布陣をダフのワントップによる[4-4-1]へと変更。ドログバのように高さのある選手は他にいなかったため、逆にスピードタイプでカウンターを狙えるダフのワントップというこの采配はそれほど悪いものではなかった。

 だがその直後にライカールトの打った手が絶妙だった。チェルシーに反撃の機会はほとんどないと見るや、それまで3人の中盤の底で守備的な役割をこなしてきたアルベルティーニを下げ、攻撃的なMFであるイニエスタを投入してきたのだ。

 図は、この2人のホットゾーンの違いを示したものだが、左図のアルベルティーニが中盤中央の守備的なエリアでボールの配給に専念していたのに対し、右図のイニエスタは前線と中盤の間でプレーをしていることがデータにもあらわれている。このイニエスタのプレーエリアがチェルシーのディフェンス構造の崩壊をもたらすことになる。

 まず前半、[4]+[3]のブロックと両サイドのマンツーマンで対応していたチェルシーのディフェンスだが、ドログバの退場でその1人分の守備のエリアが開くことになる。これを例えば前半と同様に、[4]+[2]のブロックを形成して、両サイドの2人がマンツーマンを行うようにすると、イニエスタの投入により中盤の高い位置では2対3の数的不利な体制を作りやすくなる。イニエスタのポジショニングもその数的有利を意識したものであり、わざと中央でプレーするようにとの指示があったのだろう。


(『SkyPerfectv:UEFAチャンピオンズリーグ バルセロナ vs チェルシー』より)

 チェルシーは中盤での数的不利を補うために[4-4]のブロックを形成せざるを得なくなる。するとバルセロナの両SBにマンツーマンで対応していたWGがいなくなり、攻撃的な攻め上がりへは全く対応できなくなってしまった。マッチアップがいなくなったSBは攻め上がったままの状態となり、チェルシーにとって状況はますます不利な方向へと傾いていく。

 チェルシーのディフェンスは崩壊寸前。パスコースがいくつも増えて、バルセロナのパス回しが冴えを見せるようになると、固く形成したはずの[4-4]のブロックの間にもわずかなスペースが生じ始めていた。
 ここからのライカールトの采配も見事で、チェルシーのディフェンスが消耗してきたところで対人に強いアタッカーであるロペスを投入してきたのだ。これでチェルシーのディフェンスにはとどめの楔が打ち込まれた格好になる。

 ロペスの投入により、ディフェンスラインに更なる負荷がかかるようになると、ついに閉じていたはずのラインの間のスペースもバルセロナにを使われるようになり、チェルシーの守備はここで崩壊する。ロペスのプレーエリアはディフェンスラインの中が最も多く、バルセロナの1得点目となったドリブルシュートもちょうどこのエリアから生まれている。更にエトーが押し込んだ2点目の場面など、チェルシーの選手達はロペスのミドルシュートを防ぐことすら出来ず、ただ呆然とペナルティーエリア付近で見ていることしか出来なかった。

 アクシデントからの数的有利を生かし、引いたチェルシーの守備を突き崩したホームのバルサが2-1と先勝した。

【プレビュー】 第2戦への布石として

 第1戦の終了直後の監督会見をモウリーニョが欠席したことが物議を読んだが、それは彼お得意のパフォーマンスであり演出だったとする見方には疑問が残る。自分の攻撃の戦略ミス、ドログバの不可解な退場劇と審判に対する不信感、ライカールトのうった露骨で絶妙な采配、守備の崩壊、先制して勝てる、最悪引き分けられるゲームを落としてしまったことなどに対する不満や怒りで心中穏やかではなかったに違いなかったのだ。記者会見を欠席した理由は、悔しかったから。ただそれだけの理由だろう。
 チェルシーはこの苦い戦いを糧とし、対バルセロナ戦略をより有効なものへと練り直す作業にかかる。

 図はバルセロナとチェルシー、両チームのホットゾーンの違いを表した図だ。バルセロナのボールポゼッション68%の正体は、左サイドを基点とした強烈なパスサッカーのスタイルだ。左サイドに頻繁に流れるロナウジーニョにボールを集め、そこがだめでも一度シャビにボールを戻しデコやオーバーラップしたベレッチのいる右サイドにボールを展開していくことで相手の守備を左右にかく乱するというのがバルセロナのオーソドックスな攻撃の展開になる。逆にチェルシーは自陣深い位置でのボールタッチが多くなっていることからわかるように、守備に追われるシーンが多かったのと、攻撃時にはパスをほとんどつながずにシンプルに攻めようという意図が表れていた。

 表は、パスの出し手と受け手のパス交換の本数を示したものだ。横列がパスを出した選手とそのパスを誰がどれだけ受けたかを示し、縦列はその選手がだれからどれだけのパスを受けたかを示している。バルセロナの攻撃の起点となっているシャビのプレーの特異性はデータにもはっきりと現れており、パスを出した本数が116本、また受けたパスの本数も113本とどちらもチーム最多。対戦するチームはシャビにプレッシャーを与え攻撃の目を摘むとともに、逆にそこでボールを奪いカウンターへとつなげる必要があった。

 同様にチェルシーのデータからは、彼らのパスの本数がバルセロナの1/4しかなく、ボール支配の時間が少ないことやポゼッションの差以上に、チェルシーが縦へのプレーを意識して横パスやショートパスの無駄なパスをつなぐ本数が少なかったことがわかる。

【第2戦】 バルセロナに内在する根本的弱点

■ モウリーニョによるバルセロナの再分析


 モウリーニョはバルセロナの攻守の分析を1からやり直した。
 第2戦でモウリーニョがとった布陣は第1戦の[4-3-3]とは異なる[4-2-3-1]というものだった。裏に抜けるのが得意なFWのケジュマンを1トップに置き、献身的なプレーが出来るグジョンセンをあえてトップ下に配する。両FWとも前線からの守備で貢献したが、特にグジョンセンが中盤の低い位置に下がってまで相手の中盤にプレッシャーを与え、シャビら攻撃の起点を潰そうという意図がプレーゾーンから明らかになっている。また、バルセロナのホームであるカンプ・ノウとチェルシーのホームであるスタンフォードブリッジではピッチの横幅が4m以上も狭いことを考慮してプレッシャーを与えていこうという戦略は正解だったように思われる。
 ブロックとマンツーマンを併用した守備に対する基本的な考え方は変わらないものの、バルセロナのパスの本数が第1戦の566本→481本へと大きく減少していることからもわかるように、相手の中盤によりプレッシャーを与える方向へとシフトさせた布陣となっている。

■ 攻撃戦略の切り替え 〜「ハイボール」から「グラウンダー」へ〜


 守備面は中盤に人数を割く布陣に変更したマイナーチェンジに留まったが、逆に攻撃面については第1戦とはやり方そのものを変更するというかなり大きな決断に至ったようだ。ドログバの退場により彼が第2戦に出場できなくなったことで、グジョンセンを1トップにする選択肢も残されていたが、同じやり方ではバルセロナのDFラインを崩すには至らないということがわかったため、第1戦で行ったようなロングボールをドログバに合わせるやり方を完全に捨てていた。

 モウリーニョが第2戦で採用したのはグラウンダーのパスによるダイレクトプレーの多用だった。それもかなり限定されたパターンプレーによるもので、その概要はこういったものになる。
 まず相手のボールを奪った瞬間に、味方のFWの位置を確認する。FWが楔のパスを受けられない状態ならばSBの裏にボールを出し、FWを走らせる。もしFWが楔を受けられる体制ならばグラウンダーでボールを足元に出す。FWは楔のパスを必ずダイレクトで中盤に落とし、中盤の選手はそれをまたダイレクトで逆サイドの裏のスペースへ展開する。バルセロナの両SBは攻撃の最中は常に高い位置を保っているので、ダイレクトでボールを展開されるとそのスペースに戻るだけの時間的余裕がなくなるのだ。

 だがそれはチェルシーにもあてはまる。事前にある程度の決め事を作っておかなければ、連続的にダイレクトでつなぐパスにサイドの選手が飛び出していくことなど不可能。そのため、このプレーを有効なものにする上でチェルシーが意識したポイントが3つほどある。

 1つはスペースを狙う前に楔のパスをFWに必ず入れること、2つ目はフィニッシュエリアをSBの裏のスペースと限定すること、3つ目が最も重要でサイドに流れ出る選手の走り出すタイミングを楔のパスを出した瞬間と定めることだ。1つ目はこの楔のパスを入れることでプジョルらCBがゴール前に戻る時間を遅らせることができるという点で、2つ目は速いカウンターを実践する上でフィニッシュエリアに直線的に走りこむことが出来るという点で、3つ目は早いスペースへのパスに反応できる上に、相手が戻りきる前にサイドのスペースに先に侵入することが出来るという点でそれぞれ有効であった。


(『SkyPerfectv:UEFAチャンピオンズリーグ04-05 チェルシー vs バルセロナ』より)

 上図はチェルシーの1点目のシーン。テリーがシャビから奪ったボールをすぐに右サイドの裏に展開。フィニッシュを目指すグジョンセンは左サイドの裏めがけて一直線に走り出している。右サイドを抜け出したケジュマンは、センタリングを迷わず左サイドの深い位置に出し、グジョンセンのゴールをアシストした。


(『SkyPerfectv:UEFAチャンピオンズリーグ04-05 チェルシー vs バルセロナ』より)

 また3点目のシーンでは、今度はカルバーリョのDFラインからのグラウンダーの楔のパスをケジュマンがダイレクトでJ・コールに落とし、さらにJ・コールは既に左サイドを全力で走り出しているダフに再びダイレクトで展開。対面するベレッチのマークを受けることなく、守備の体制を整える前の段階でフィニッシュまでつなげている。
 ダイレクトパスを織り混ぜたチェルシーの見事なカウンター。明らかな戦略的意図とそれに基づいた速攻からのフィニッシュには繰り返し行なわれたであろう練習の後が見えた。バルセロナの攻撃力の推進装置であり同時に最大の弱点ともいえる両SBの高い位置取りの裏を突いたチェルシーの得点が連続して続き、前半途中で3-0となった勝負は決まったかに思えたが、そこは相手はバルセロナ。ハンドで得たPKとロナウジーニョの大会史に残るスーパーゴールで瞬く間に2点を返しトータルスコアを逆転して見せた。そこからは双方互いの持てる力を出し合い、しばらくは混沌とした状態が続いたが、後半コーナーキックからテリーがヘディングシュートを決め再びチェルシーが逆転し、試合は4-2で終了。

 トータルスコア5-4という壮絶な打ち合いを制したチェルシーが、次のラウンドへの勝ち上がりを決めた。

試合に対する戦略的なビジョンの差

 この2戦を振り返り、バルセロナが破れチェルシーが勝ち上がった要因はなんだったかと問えば、それはどうやって相手の攻撃を防ぎ、守備を崩していくかというチームとしてのビジョンの差だったといえるだろう。チェルシーには例えそうはならなくとも、「どの時間帯で得点し、どの時間帯で守り、どのように試合をコントロールするか」がそれぞれの試合で明確にあったのに対し、バルセロナはアウェー戦の最初の18分で3失点したことからもわかるように、ゲームの入り方や得点経過に応じた試合のコントロールに全く配慮が感じられなかった。まず攻める、取られたら攻める、とにかく攻めるで勝ち上がれるほどチャンピオンズリーグは甘くなかった。結局、「どんな相手に対しても常に攻撃し続ける」というコンセプトを忠実に守ったことがあだとなり、バルセロナをCLベスト16での敗退という結果に導いてしまった。

 両チームが多くの得点チャンスを作りながらも、得点力に勝るバルセロナが最後の1点が取れずに敗れたというのは、個人やコンビネーションではなくチーム戦略上の得点ができなかったことによる差だったのではないだろうか。

(企画:Gaichi Asano、分析:Hironari Ishii、データ提供:データスタジアム株式会社

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 本稿「【チャンピオンズリーグ分析】チェルシーvsバルセロナ」では、データスタジアム株式会社様のご協力のもと、膨大なマッチデータの一部を用いて試合を分析するという実験的な試みを行いました。そこで今回は、データを用いた試合の分析がどの程度効果的であるか、また読者の皆様のご理解を得られたかを調査するためにアンケートを実施いたします。このアンケートにご協力いただける方は、以下のリンクからアンケートページに入って10項目の質問にお答え下さい。

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